――「父親の仇をとる」
そう言って香港へ渡った彼のことを思い出す。
数多の障害を乗り越え。時に負けそうになりながらも必死に前へ進んでいた彼。
苦難の末、ようやく掴んだ有力な手がかりを胸に桂林へ向かい、そして……
あれから音信は途絶えてしまったけれど、彼は無事宿願を果たせたのだろうか?
それとも仇の前に破れてしまったか……? いや、彼に限ってそれはないだろう。
案外現地で女が出来て仇討ちは諦めたのかもしれない。
どうしてか、彼の周りには常に魅力的な女性がいたものな。
きっと彼に対して俺が知っていることなんてほんの一端でしかないのだろう。
けれどその中でも彼は常に必死で、我武者羅に生きていた。
だからこそ、せめて彼が幸福でいることを祈りたいのだ。
……だがある日、意外な形で彼の消息を知ることとなった。
http://gs.inside-games.jp/news/204/20496.html
異形の生物達とバイクを駆ってカーレースを始めたと思いきや。
スタントマン顔負けの曲芸運転を披露し、空中でどこからか飛んできたフォークリフトに乗り移り、フォークを使って目の前を走るライバル車両を跳ね飛ばす。
これは本当に彼――"芭月 涼"なのか?
あまりにも変わり果てた姿に暫し呆然とするが、しかし冷静になって考えてみれば、彼の名と姿を騙るメリットなどありはしない。こう言ってしまうのはなんだが、彼にそんなネームバリューなどありはしないのだから。
彼はきっと本物なのだろう。本物の、"芭月 涼"なのだろう。
何がどうしてこのレースに出場することになったのか、またこのような人外の力を手に入れるに至ったかは知らないが。何はともあれ生きてて良かった。
そして、おかえりなさい。
……しかしこのゲーム、多分日本じゃ出ないんだろうなぁ。
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